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無題
理科室ではゼリー状の四角い物体が教師と思われる女の顔を包んでいる。
息ができない女の顔は徐々に青白くなり、その美しい目は何倍にも膨らんでいく。生徒達がお祈りをするとそのゼリー状のものは消えたが頭部の大部分に至るまで大きく膨らんだ眼球は元に戻らない。
教師は人間とは思えないくらいの低い声で「ありがとう」と発すると頭部がパンと弾けた。
血液などではない水分を多く含んだ赤い胞子のようなゼリーの粒がその半径2メートルの床や壁に勢いよく飛び散り、机の角からは下にボトボトと滴っている。
ついさっきまで生命であった物体は立ったまま、生徒達の方を見ているような気がしたが頭はない。首の切れ目からは赤いものが落ち切らず垂れ下がって揺れている。
近くにいた一人の女子生徒が花でも見るかのように「きれい」と小さくつぶやいた。